真夏の秋

「9月並み」と伝えられる気温。エアコン要らずで、窓を開けると清涼な風が流れる。夕暮れ、素肌には少しだけ肌寒いほどに。


体力的には過ごしやすいが、気分の方はどうか。今日の空気は秋のそれに似て、そっと一抹の寂しさを運んでくる。僕は吸って吐いて、淡い生の実感を得る。


静けさと、遠くに近くに、蝉の声。夏だ。まだお盆も迎えていなかった。すぐに炎天が戻って、再び猛暑に喘ぐに違いない。長岡花火、見たかったな。


秋を思うなんて性急だが、ひと月やふた月なんて、気がつけばあっと言う間に過ぎ去ってしまうもの。冬の星も、春の花も、遠からず現れるだろう。そうして季節を繰り返す生涯、きっと長く短い。