この春、あの春

暖かい。を通り越して、暑い。初夏の一歩手前の様だった昨日。庭の薔薇も芽吹いたり。一転冷える夜は、如何にも冬が明けた頃のそれ。なんだか。


例えば桜色の京都とか、春の耽美な世界には恋している。いい思い出も多分にある。


けれど、春は嫌いだ。そう息衝いて早幾年。出会いと別れの季節だなんて言うが、思えば最愛も、春に来て、春に去ってしまった。終わりの無い春に一人、置いて行かれた気分にもなる。


吸い込んだ空気から春を感じるとき、心中穏やかでいられない僕は、命を使っている。