栄養補給

お世話になっている方に誕生日を祝っていただいた。ディナーをご馳走になった上、上質なプレゼントまで頂くなど。恐れ多い。こちらが何かお返しをと申し出ても、将来の後輩にしてあげなさいと諭される始末。あんな大人になりたいものだ。甲状腺癌の手術を経たとは思えない程にアクティブで、終始強い生命力を放っていらした。歩くパワースポット感すらある。大切な人の健康は尊い

 

常に穏やかで笑顔を絶やさない彼女だが、その裏に七転び八起きの人生経験があることは、言葉の一つ一つに確と認められる。事実、私が大人になったからと聞かせてくださった過去の波乱は、あまりに酷烈。だからこそ「無駄な経験は一つも無い」という言葉が、特別な重みを持つのだ。


今年の夏に念願のお孫さんが誕生し、また同居が叶ったことから、幸せに満ちた日々を過ごしておられるとのこと。心が温まる。何より印象に残ったのは、名前に関する話だ。男の子にも女の子にも似合う名前を、娘さん夫妻は意図して選んだと言う。


その理由を聞いて、涙が出た。


「男の子に生まれたが、彼が将来自分の性をどう認識するかは分からない。女の子としても、名前を変えずに生きられるように」


仮に私が子を持ったとして(可能性は極めて低いが)、その発想に至っただろうか。

 

理解や受容の前に想像力が無ければ、本当の意味で人を救うことなどできないのだ。