歓び哀しみ

生を受けたことを憎み嘆いている。両親の生殖によって、なぜ私が苦悩しなくてはならないのだろう。愛の結晶とはエゴイズムの所産だ。宇宙、せめて地球だけで充分だったのに。全ての感情が煩わしい。こんな人間が、他の動植物を犠牲にしてまで存えるなど。死という究極のミニマリズム/ダイナミズムへ急ぎたくなる。


けれども、出会うべく命に出会ったことを思うと初めて、自らの人生にも意味があったと肯定できる気がする。運命という言葉は、文字通りだ。共に過ごす美しい時間は掛け替えの無い富となって、明日を生きる理由を与えてくれる。